足
歩けなくなる日
目の前に存在する、急な坂道を力いっぱいのぼる。
歩ける日と歩けない日が存在するのは何故なのだろう。原理は理解しているつもりだけれど、それが起きるスイッチが見つからない。
一瞬前まで踏みしめていたはずの床に崩れ落ちている。
怪我をしていなくても、足の感覚があったとしても、動かそうという意思が伝わらない。
ぺちぺちと叩いてみる。足は叩かれたという信号を受信する。嫌な感覚を拭うように掻きむしる。赤い線が浮き上がり、ヒリヒリと痛みを訴える。
動けと念じても、いつものように動こうと力を入れてみても、そこにいるのは座り込んでいる自分自身なのだ。
(中略)
歩けるようになる日
目の前に存在している、なだらかな坂を歩く。